多重ビームアンテナの研究者たちがその試験運用に適した場所を探している

フラウンホーファー研究機構の集積回路研究所は、9種類の異なる電波を受信できる4素子アンテナを開発した。条件の悪い場所でもRFIDタグの位置や移動方向を正確に検知できるという。
著者 Claire Swedberg
Aug 24, 2017

ドイツの研究機関であるFraunhofer IIS (フラウンホーファー研究機構 集積回路研究所) は、新開発の多重ビームアンテナの試験運用に協力してくれる企業を募集している。このアンテナアは、UHF帯RFIDリーダーの近くを通過するタグの移動方向をトラッキングし、従来のアンテナに比べ、 タグの密集地など検出の難しい場所に設置された場合でも、より確実にタグのデータを読み出すことができるように作られている。このアンテナは、標準的なUHF帯リーダーと組み合わせて使うことができる。リモートコントロール用のインターフェースも備わっており、ユーザー独自のリーダー用プラットフォームに組み込んで利用することもできる。

ドイツのエアランゲンにあるFraunhofer IISは、マイクロエレクトロニクスとITソリューションの分野で製品レベルの開発を担当する研究所である。オーディオメディア技術、電子通信システム、X線技術、位置検出システム、スマートセンシング技術、サプライチェーン向けサービスなどがその研究領域だ。同研究所によれば、この多重ビームアンテナは、RFIDを精確に読み出すために一台のリーダーにたとえば多数のアンテナをワイドアレー型に配置せざるを得なかったUHF帯RFID向けに、その置き換えや代替となる多重ビームアンテナとして開発された。

Fraunhofer IISの多重ビームアンテナ
RFIDテクノロジーは、条件の悪い場所で使われることもある。たとえば倉庫や、混雑した小売店、製造工場などでは、タグの読み出しの信頼性を高めるために多くのリーダーやアンテナを複雑に配置している。倉庫のドックの扉付近などにポータルが一基または並んで配備されている場所では、数多くのタグがさまざまな方向にしかも高速で通過するため、すべてのタグのIDを読み取ってその位置を検出することは困難になってきている。

これまでは、タグの位置とその移動方向を精確に検出するため、一台のリーダーにいくつかのアンテナを組み合わせて設置していた。通常のリーダーには最大8基のRFポートがあり、その先に繋がるアンテナはどれもある一種類の電波のみを受信する。一般的なゲートに設置できるアンテナは、両側に4本ずつの計8本までだ。タグの移動方向を検知するためには、これらのアンテナは、通常数mの一定の間隔を置いて設置することになる、とFraunhofer IISアンテナグループ長のマリオ・シューラーは語る。

「一般的なリーダーに固定ビーム用のアンテナを組み合わせて使う限り、普通は移動方向までは検出できないのです」とシューラーは説明する。だから「移動方向は、複雑に配置したアンテナを使って大雑把に推測するしかなかったのです。」

リーダーにアンテナを数本のみ組み合わせた別の例では、タグの読み出し性能が犠牲になっている。タグが読み出される場所の環境が悪い場合はなおさらだ。たとえば、タグが (フォークリフトで運ばれるなどの理由で) リーダーの前を高速に通過する場合、アンテナはすべてのタグのID番号を読み取るには能力が足りない。その場に何百ものタグがあって、しかもそのタグが金属やコンテナいっぱいの液体の近くに取り付けられているならば、読出しはなおさら困難になる。

Fraunhofer IISは、2016年にこの問題に対処するソリューションの開発に着手した。その成果として今回発表されたのが、この最大9つまでの個別電波に対応するアンテナであり、フィード・ネットワークを形作る4つの個別のアンテナ素子 (トランスデューサー) がこの電波を受信する。このネットワークは、事前の設定に従って9種類の電波を受信するように配置されており、4つのアンテナ素子が異なる9種類の電波を分離し識別する。この電波は4つのアンテナ素子間で異なる位相分布を持つため、アンテナは異なる電波のパターンに対応する一種のフェーズドアレーとなるわけだ。

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