科学者たちが絶滅危惧植物の保護に使うRFIDをテスト

ケント大学の環境保護と電子工学の両学科が協力し、ソテツ類にタグ付けをしてその存在を確認できるUHF RFIDシステムをキャンパス内でテストした。タグからの発信が途絶えると、盗難などの可能性があるとして警報が送られるシステムだ。
著者 Claire Swedberg
Feb 23, 2017

ケント大学の研究グループが南アフリカ国立生物多様性研究所と協力し、無線自動識別 (RFID) 技術を利用したソリューションを立ち上げて希少種や絶滅危惧種の植物を盗難から守るための資金を募っている。ケント大学の研究チームはすでに、RFIDタグを付けた植物が所定の場所から取り除かれると、それを検知するシステムを学内で開発しテストしている。盗難の可能性があるとして、ソフトウェアが公園の警備隊や関連の担当者に警報を送ることができるシステムだ。

次のステップとして、このイギリスの大学と南アフリカ共和国の研究所は、南アフリカ共和国内の国立公園にこの技術を導入するための資金集めを進めている。まずは絶滅の危機にあるソテツ類の管理に役立てるのだ。

デイビッド・ロバーツ
このシステムを考案したのは、ケント大学人類学・自然保護学部のダレル自然保護・エコロジー研究所のデイビッド・ロバーツ准教授と、同大学電子工学・デジタルアート校でアンテナ技術を研究するジョン・バチェラー教授である。これにより、絶滅危惧種の植物が盗掘され伐採されたならこれを自動的に検知し、当地の警察などが犯人を、公園などからの逃亡前に取り押さえることができるようになる。

この研究グループは、この技術をまずはソテツ類に使うためテストを進めている。絶滅危惧種に指定されている種子植物であり、盗難が横行しているためだ。ソテツ類はジュラ紀まで遡るサボテンの一種だという。庭やゴルフコース、ホテルなどさまざまな施設に好んで植えられる観賞用植物であり、大きな木になると一本$1,000で売買されることもある。このため、南アフリカの岩群地帯などに自生しているようなソテツは盗難の格好の対象となっている。この国ではソテツ類の4割が絶滅を危惧されているが、これまで大量に盗難されてきたこともその一因となっている。

ロバーツは数年前に、医療施設で車椅子を管理ような場合にRFID技術がいかに役立つかを語るバチェラーの話を聞いたそうだ。「その時、この技術を植物の保護に使うとしたら私には何ができるだろうか、と考えたのです」とロバーツは語る。そうして、自然保護の科学者と電子工学の科学者が協力してソリューションが出来上がった。固定型RFIDリーダーが、ソテツに取り付けられたパッシブ型極超短波 (UHF) 帯RFIDタグからの信号をリアルタイムに読み出して、その読み出しエリア内から他へ移動したなら即座に検知ができるシステムだ。

研究グループは、Impinj製のUHFチップが組み込まれたタグを入れた箱を、ソテツの根元の辺りに取り付けた。大学が特注した不正開封防止機構付きの箱にタグを入れて、隠れネジを使って木の幹に直接ネジ止めするのだ。このタグケースは不正開封防止型だとロバーツは言う。「箱を木から引き剥がすと、ネジは木に取り付けてあるため、箱の中のタグも引き裂かれてしまします。」RFIDタグを箱から取り出すこともできないそうだ。箱のふたをこじ開けても箱の中のチップが引き裂かれ、動作しなくなるからだ。

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