RFIDが製品横流しに対抗するデマリニ・スポーツ社の代打に立つ

エンティグラル (Entigral) 社のUHF帯RFIDシステムを用いてこの高級アルミ複合材バットの製造会社が商品を同社の正規小売店とリンクさせた。これにより横流し商品の出所をした販売店があればすぐに追跡できる。
著者 Claire Swedberg
Dec 04, 2015

スポーツ用品の会社であるデマリニ・スポーツ (DeMarini Sports) 社は、無線電波を利用した商品識別技術を導入して野球やソフトボール用バットの追跡管理を始めた。これにより価値ある自社製品のサプライチェーンの一体性を守ることができる。エンティグラルシステムズ (Entigral Systems) 社が提供するUHF (極超短波) 帯RFIDのソリューションを用いて、この会社は、バットの一本一本について特定の小売店への出荷記録が自動的に得られるようになったため、そのバットが、たとえばeBayなどどこか他の商店で売られている場合、そのバットを卸した小売店がどこであるか知ることができる。

デマリニ社は、プロ用及びアマチュア用の野球用品や衣料品の会社であり、例えばアルミ複合材で作られたバットは通常一本200ドルから500ドルで売られている。バットはオレゴン州ヒルズボロの自社工場で生産し、毎日およそ3千本のバットを世界各地の小売店へ出荷している。バット一本当たりの小売り価格はデマリニ社が設定する。しかし、このバットはeBayや他のウェブサイトでたびたび安値で売られている。

小売店に向け出荷するバットの一本一本にデマリニはRFIDラベルを生成 (写真下方) して包装箱に貼り付け、バット内部にも印字する

「私たちは20年にわたり高級バットを作り続けてきました」とデマリニの工場長ネイト・ボルドウィンは語る。「しかしこの5年ほど、eコマース時代への移行に伴ってグレーマーケットの問題に悩まされています。」彼によれば、誰だかわからない個人が新品のバットを買い占め、製造元の広告表示価格 (MAP) より安値で売買しているというのだ。これは、ブランドイメージに傷をつけるし、正規販売店もこれらのオンラインショップとの販売競争に巻き込まれるため大問題だ、と彼は言う。

デマリニ社の規模の大きな小売店には同社に苦情を言うところもある。不正規の販売を止めさせてほしい、と言うのだが、それは簡単ではない。デマリニ社はこうしたウェブサイト上のバットを買い取ることもできる訳だが、そもそもどのようにして手に入れた商品なのか、さっぱりわからないのだ。

そこで同社は今年に入り、エンティグラル社に協力を求めた。そして6月、製品のバット一本一本を自動で判別でき、それぞれのID番号からどの顧客に向けて出荷した製品かが分かるようなソリューションを使い始めた。

RFIDは本来、バット一本一本の出荷時にデータを自動で高速に収集する方法を提供する技術だが、その実現に際してはいくつかの困難があった、とエンティグラル社の販売・マーケティング担当副社長マーク・ジェンバーリングは言う。

デマリニ社は、それぞれのバットの内部にRFIDタグを組み込むことで、バットそれぞれを個別に追跡管理できるようにしたいと考えていた。しかしながら、安価なRFIDタグはたいていどれも、アルミや複合材製のバットの内部に組み込まれてしまうと素材が邪魔をして高周波信号を読み取ることができない。また大量出荷の場合に積み上げられたバットの中で個々のバットの位置を判別することも難しいのだ。

加えて、どのバットも最高の性能を発揮するように細心の注意を払って製造されており、小さなRFIDタグといえども貼付すれば重さのバランスが狂ってしまいかねない。さらに、ボルドウィンによれば、バットの内部のタグはバットを強く振ったりボールを打ったりすれば極端に厳しい条件に晒されることになる。「ほとんどお手上げ状態でした」とバルドウィンは語る。

RFIDジャーナルイベント
Live Events Virtual Events Webinars
ヘルプ RFIDジャーナル日本について 広告掲載について 利用規約 プライバシーポリシー お問い合わせ
© 著作権 2002-2017 RFID Journal LLC.
搭載: Haycco